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グッと!尼っ子リンリンサポーター

団体名:株式会社ふたごじてんしゃ

活動の報告

 

<贈呈式>

尼崎市中小企業センターに赴き以下のとおり実施。

 

日時:平成31年3月11日(月)午前10時30分から
場所:尼崎商業支援オフィスアビーズ内にて

 

サポーター活動について

活動の内容:幼児二人をどちらも後部に乗せることができる三輪自転車の製造企画など

活動の目標:多様なデザインの自転車の普及による誰もが自転車利用が叶う街の実現

リンク先:https://futago-jitensya.jp/

 

 

<贈呈時サポーターへのインタビュー

【双子と一緒に、安心して自転車で出かけたい】
 日本初の幼児二人を後部に乗せることのできる三輪自転車(以降、ふたごじてんしゃ®と言う。)の製造を企画した、そもそものきっかけは、私自身が、双子の母親であったことです。育児をする中で、自転車で双子を連れて外出するとき、従来の3人乗り自転車では、前後に双子を乗せると同じ体重がかかり、運転が不安定で、また安全基準により、後ろに乗せられる子どもは6歳未満であれば可能なのに対し、前に乗せられる子どもは4歳未満という制限もあり、大きな課題があると感じました。双子を安心して乗せられる自転車が存在しないのであれば、自分で作ろうと思った事が始まりでした。私と同じように困っている人たちが安心して乗れる自転車を提供したいと考え、7年間かけて“ふたごじてんしゃ”の製品化を実現、平成28年には株式会社ふたごじてんしゃを立ち上げました。


ふたごじてんしゃ®

 

【一人の母親が一から何か物を作ることの苦労】
 企画を始め、自転車を製造している企業さん等に協力を仰ぐ際、自分の中にある「双子を安心して乗せられる自転車」のイメージを伝える事が難しかったです。
 子どもを前後に乗せられる自転車はそれまでも一般的に存在し、その自転車に、双子や年子等を乗せる事が保護者にとって困難な面があったとしても、自転車の選択肢がないため、やむを得ずそうしてきたという背景があったと思います。その人たちは、そもそも自身が困っているということに気がつかない。皆そうして来た、それが当たり前だと思ってしまうんです。そして企業さんにとっては、特に既存の自転車に対して苦情がないため、新しい自転車の製造にあえて着手する必要はない。その意識から壊していかないといけないため、とても大変でした。
 子ども乗せ自転車による重大事故が起こった際、きっと世間の方たちは運転していた保護者を批判すると思います。しかし、実はその前に、その方法しか選べなかった保護者たちがいるんです。そういう人たちが使える自転車の環境を整えるため、株式会社を設立しました。

 

【「子どもに体験させてあげたい」という思いを後押ししてくれるツールとして】
 自転車という乗り物のすごいところは、乗っている人1人の力で、行きたい目的地を定めて到着ができるところです。しかし、子どもの数が増えれば増えるほど移動手段が限られ、子どもを連れての外出が叶わず、社会から取り残されたり引きこもったりしている保護者は多いと思います。ふたごじてんしゃ®という、幼児との外出のための新たな選択肢が生まれたことで、それまでは双子を連れての外出が叶わなかった保護者が、これからはストレス無く、「今日はここに連れて行ってあげよう、明日はあそこに連れて行ってあげよう。こんな事を子どもたちと体験したい。」という願いを叶えられる、同じ道路を共有している地域の人たちとのつながりもでき、地域コミュニティの活性化にもつながると考えています。
 それでも、現在のふたごじてんしゃ®は万能ではありません。ふたごじてんしゃ®の販売では、自転車では初めての「アセスメント販売」という仕組みを取り入れています。具体的には、購入を検討している人に対して、その人自身のライフスタイルや住環境に最適な自転車の活用方法や交通ルール・マナーを再認識してもらうさせる 購入前診断を行うことで、購入後のミスマッチを軽減するというものです。アセスメント修了後に販売の際に、「あなたはふたごじてんしゃ®を使えない人です。」と伝えなければならない時もあります。もっと改良し、よりたくさんの人が使えるデザインに変えていき、そういった保護者に届けられるものをラインナップに増やしたいと考えています。

 

【やっと出かけられたのだから、安全に帰ってきてほしい】
 ふたごじてんしゃ®の製品化によって、双子を連れての外出が叶った保護者には、次は安全に家に帰ってきてほしいです。「家は帰る場所です」と、私はいつも言います。双子を連れての外出が叶わなかった保護者の方が言うのは、「そうなんです、ずっと閉じこもっているから、出かけられないから帰ることすらできない。」ということです。ふたごじてんしゃ®の製品化して終わりではなく、保護者の方たちが「帰れる場所」を見届けるまでが私の仕事だと思っています。
 株式会社は営利企業ですので、どうしても制約があります。そこで、NPO法人つなげるという別団体を設立しました。今後、アセスメント 販売や交通安全教室、シェアサイクル等、ソフト事業は全てNPO法人のほうで引き取り、株式会社ふたごじてんしゃでは、車体の企画・開発開発や販売網の整備、アセスメント販売 等に特化していきます。


【自身の安全だけではなく、未来の子どもたちのことも考えて】
 子ども乗せが可能な電動アシスト付自転車は、非常に速いスピードを出すことが可能です。しかし、乗っている子どもがその速さに慣れてしまうと、子ども自身が自転車に乗るようになった時、同様に非常に速いスピードで走ってしまうのではという懸念があります。ですので、保護者の方が子どもさんを乗せる時、「将来この子も同じような乗り方をするんだ。」ということを、心のどこかに留めていただき、安全な運転をしていただきたいと思います。「危ない!」と指導するのではなく、保護者の方に、そうなんだという気づきをもってもらえるような伝え方をしたいなと思っています。
 また、危ない自転車の運転をしているのは、子どもを連れた保護者だけではなく、仕事中の移動手段として自転車に乗っている人たちの中にも、危険な運転をする方はいらっしゃるなと思います。交通安全についての啓発というと、学校や保護者に対してがメインになるかもしれませんが、企業さんに対しても啓発を行っていきたいです。働いている人たちも、家に帰れば一生活者ですから。

<令和3年度の取組について>

 ふたごじてんしゃ®の試乗会を通して、購入希望者に対する適切な利用と交通ルールの教授は100%達成することができました。

 
  試乗会の様子

 

 年子や双子を育てるご家庭へ、安心して移動できる手段を伝えるきっかけを届けられたと考えています。

 

 試乗会に参加された、三つ子や2人以上の子どもを持つ家庭には、自転車移動という選択肢がないことが浮き彫りになりました。また、自転車にどうしても危険な乗り方をするしかないといった声もあがりました。そのような状況は問題だと感じました。

 

 今後、双子や年子だけでなく、複数の子どもたちがいるご家庭の移動問題に目をむけていきたいと思います。

 

 

<令和2年度の取組について>

 オンライン上でアセスメントを実施し、ふたごじてんしゃ®の購入検討者に対する適切な利用と交通ルールの教授は100%実施できました。


ふたごじてんしゃ®のアセスメント販売の仕組み

 

 また、道路交通法における「自転車の幼児用座席に同乗可能なのは6歳未満」という対象年齢を引き上げるための署名活動を開始しました。(兵庫県では令和2年6月30日実現)小さな取組ですが、令和3年にはすべての都道府県で未就学児同乗可能となるよう訴えていくことで、年齢による利用制限があった家庭のQOL向上を目指したいと考えています。子育て世代で壁となっている、6歳以上同乗不可についての実態とルールのズレを利用者自身にも伝えることができ、大きな一歩でした。

 

 令和2年度自転車活用推進功績者表彰を受賞したことで、自転車による移動手段を持てない一定層があることを社会へ訴求することができました。


自転車活用推進功績者表彰式当日の様子

 

 自転車にも道路交通法のルールが適用されていることをふたごじてんしゃ®の利用者にも伝えていくことで、今後も安全な暮らしの意識向上に努めたいと考えています。

 

 

<令和元年度の取組について>

 尼崎城で試乗イベント開催することができました。試乗に訪れた15組の双子家庭の方に、乗り心地を確かめていただきました。


尼崎城でのイベントの様子

 

 尼崎市内の自転車販売店で、ふたごじてんしゃ®の販売を開始しました。全国チェーン店の店舗開拓ではなく、地元密着型という事で店舗さんへ直接足を運び、独自開拓しました。皆様に快く受けれいていただき、尼崎市内でのふたごじてんしゃ®ユーザーさんは3家庭となりました。今後も、販売店舗を開拓していきます。


ふたごじてんしゃ®を販売している自転車販売店の一つ

 

 「使い手と作り手と売り手を一つのチームに」を合言葉に、ふたごじてんしゃ®販売時には、モノに愛着を持ってもらうよう、買わなくてもファンになってもらえるようアセスメント販売Rという仕組みを必須としています。これまで、延べ800名を超える方にアセスメントを受けてもらっております。購入に至らなくても、電動2輪やそのほかの移動手段をいっしょに考えることもあります。


アセスメント修了証

 

 SNSを活用した広報も実施していますが、まだまだ双子世帯へのふたごじてんしゃ®認知度が低いと感じています。イベントを開催した際、たまたま通りかかった双子世帯の方に「知らなかった」と言われた事もありました。全ての世帯に情報が行き届くように、今後、尼崎市内を中心に阪神地域でも試乗イベントを、メーカーや多胎サークルなどと連携しながら開催頻度を高めていきたいです。

 

 

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