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放送日 2019年07月03日

第40回「交通事故の対策は、ソフトとハードの両方で!」

DJ:このコーナーは、とっても自転車がよく使われているこの尼崎を、さらに自転車のまちにしようという、壮大なプロジェクトをご紹介するコーナーです。
お相手は、尼崎市役所の生活安全課の皆さんです。よろしくお願いします。

市職員A、市職員B:よろしくお願いします。

DJ:本日は、第40回目の放送ですね。さて、今日のテーマは何でしょうか?

市職員A:テーマは、ずばり、「交通事故の対策は、ソフトとハードの両方で!」です。

DJ:「交通事故の対策は、ソフトとハードの両方で!」ですか。
詳しく、教えてください。

市職員B:はい。
自転車の事故や盗難の防止から自転車を活用した市民の皆さんの健康増進や観光振興まで、非常に広い分野にまたがります、自転車のまちづくりの中でも、現在、特に重点的に取り組んでいます、「自転車の交通事故」。自転車にかかわらず、交通事故にはもちろん原因がありますので、その原因に対処し、なくしてしまうにはどのようなことが必要か、常日頃から検討しています。
その際のアプローチの1つとして、ソフト面か、ハード面かという考え方があります。

DJ:なるほど。
“ソフト面、ハード面”というのは、交通事故に限らず、色々な分野でもよく聞きますね。
“ソフト面、ハード面”を、もう少しわかりやすく言いますとどういうことになるでしょうか。

市職員B:そうですね。
分野にもよると思いますが、ソフトは形がないもの、ハードは形があるもの、という風に言えるかもしれません。
よりイメージを持っていただくため、“キーワード”をあげますと、ソフト面では「意識」、「啓発」、「教育」、「ルール」、「マニュアル」などのキーワードが、ハード面では「設備」、「建物」、「道具」といったキーワードがそれぞれあげられるかと思います。 

DJ:なるほど。
それでは、自転車の交通事故についてのソフト、ハードのお話をお願いします。

市職員A:はい。
まず、ソフト面の対策について、お話しさせていただきます。
なんといってもまず、交通ルールを守る、ということがあります。スマホなどのながら運転をしない、夜はきちんとライトや反射材で明るくする、信号を守るなどといった、基本的なことを、自転車に乗る人もクルマのドライバーも、しっかり実践していただく必要があります。
また、このほかに、アイコンタクトなどでコミュニケーションをとるといったこともあります。
そして、これらの根幹にあたるといっても過言ではない、重要なことがあります。それは、「楽観主義バイアス」におちいらないことです。

DJ:「楽観主義バイアス」?

市職員A:一般的に、これまで事故に遭ったことがない人は、これからも大丈夫だろうと考える傾向があるそうです。
これを、交通心理学の分野では、「楽観主義バイアス」というそうです。

DJ:悪い結果が自分に降りかかる可能性を過小評価してしまうんですね。
気持ちはわかりますが、こういった考え方は自分自身だけでなく他人にも危害を及ぼしかねませんから、だめですね。

市職員A:「楽観主義バイアス」に陥ってしまいますと、たとえば、自転車に乗る人であれば“歩行者は避けてくれるだろう”、とか、クルマを運転するドライバーであれば“自転車は飛び出てこないだろう”という「だろう運転」をしてしまいます。

DJ:なるほど、スマホなどの「ながら運転」をやめよう、というのはよく聞きますが、“歩行者は避けてくれるだろう、自転車は飛び出てこないだろう、”という「だろう運転」も非常に危険ですから、絶対にしてはいけませんね。

 

市職員A:「ながら運転」や、「だろう運転」ではなく、「かもしれない運転」をスマートな運転の合言葉として覚えていただきたいです。
以上が主に、主にソフト面での交通事故対策です。
ところが、このような心掛けや意識をしっかりと持ってクルマや自転車を安全に運転しようと思っても、そもそも自転車がどこを走ろうとするのかわからない、どこを走ればいいのかわからない!ということがないようにしないといけません!

DJ:そこで、ハード面の交通事故対策ですね。

市職員B:はい。
では、これからハード面の対策についてお話しさせていただきます。
ハード面の対策としては、たとえば、自転車道、自転車レーン、路面標示などがあります。

DJ: はい。
自転車はクルマと同じ、“車両”ですから、原則として、車道を走らないといけないんですよね。
そして、そのときは車道の左側、キープレフトですね。

市職員B:そのとおりです。
歩道を通行してもいい場合もありますが、それは限られています。
さて、自転車が車道の左側を走る時に、まずは、クルマと接触しないようにしなければなりません。
その際に、自転車が走る場所がだれにでもわかるようにする工夫があります。
例えば「自転車道」といって縁石(えんせき)などで構造的に車道とは分離されたものや、「自転車レーン」といって青いペイントで塗られビジュアル的にわかるようにされているだけのもの、その他に「矢羽根」というマークをペイントするものなどがあります。
さらに、もっと根本的なものとして、信号機や歩道といったものも、ハード対策の1つだと思います。

DJ:はい。

市職員B:これらのハード面での交通事故対策はそれなりに費用をかけて物理的な工事を行いますので、工事の前と後で、大なり小なり見た目が変わっています。
そのため、ソフト面での対策に比べて格段に効果があると思われる方もおられるかもしれません。

DJ:きっと、そうですね。
見た目が変われば、クルマも自転車も、自然と安全な走り方になるように思います。

市職員B:はい。もちろん効果があると思うのですが、本日は、せっかくハード対策を行ってもそれだけではうまくいかない例を1つご紹介します。
以前、第28回目の放送、「平成30年の自転車事故の実態」の回でもお伝えした例ですが、自転車レーンです。
せっかく車道の左端を青くペイントした自転車レーンなのに、その上にクルマが停められてしまい、自転車側がその駐車車両を避けることで、むしろ、怖い思いをしたり、危険な目に遭いかねないということです。
実際に目にしたことがありますのは、自転車レーンの横にお店屋さんがあって、そこにご用がある方が、自転車レーンの上に堂々と自分のクルマを停めてお店の中に入ってしまっているケースです。
そうした場合、その地点までは歩道でなく車道、つまり自転車レーンを走ってきた自転車利用者も、レーン上の駐車があると、避けざるを得ません。
うまく、安全に避けられればいいのですが、下手をすれば車道側に避けなくてはならず、後ろからやってくるクルマにぶつかられかねません。

DJ:出会いがしらの事故も怖いですが、クルマに後ろから追突された場合の致死率はとても高い(※参考)ので特に注意が必要ですね。

市職員B:はい。

市職員A:さて、自転車が関連します交通事故のリスクはもちろんゼロにしたいのですが、何か1つ特別な取組をすればゼロになるというのではなく、色々な取組を組み合わせてリスクをコントロールしながら限りなくゼロに近づけるということが現実的かと感じています。
また、その組み合わせについては、ソフト面あるいはハード面のどちらか一方に偏った組み合わせでは、悲惨な事故を撲滅することは難しいと思います。 

DJ :やはり、大掛かりで派手な取組と地味でじわじわ効いてくる取組を、できればソフト面とハード面の両方で、上手に組み合わせることで、相乗効果を図らなければいけませんね。

市職員B: はい、おっしゃるとおりです!

DJ:では最後に告知です。このコーナーではリスナーの皆さんから、自転車にまつわるご意見などを募集します。テーマはいくつかあるのですが、今回は、「自転車と聞いて思い浮かべるあの有名人」です。
自転車と言えばあの人、自転車が大好きな有名人、あの作品のあのシーンで自転車に乗っていたあの人、などなど、どんどんお寄せ下さい。

(以下、応募方法等の説明)

※参考:財団法人交通事故総合分析センター発行「イタルダインフォメーション」№125

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