放送日 2019年06月05日
第36回「ママチャリの歴史」
DJ:この番組は、とっても自転車がよく使われているこの尼崎を、さらに自転車のまちにしようという、壮大なプロジェクトをご紹介するコーナーです。
お相手は、尼崎市役所の生活安全課の皆さんです。よろしくお願いします。
市職員A、市職員B :よろしくお願いします。
DJ:本日は、第36回目の放送ですね。さて、今日のテーマは何でしょうか?
市職員A:テーマは、ずばり“ママチャリの歴史”です。
DJ:ママチャリの歴史ですか?詳しく教えてください。
市職員B:はい。
以前の放送で、自転車自体の歴史についてお話させていただいたことがあったかと思います。
DJ:たしか昨年の放送でしたね、2018年が自転車誕生200周年であったとか。
市職員B:そうなんです、憶えていてくださってありがとうございます。
自転車は今年から新たな100年がスタート、日本は新たな元号がスタートになります。
市職員A:そこで、今回、あらためて自転車の歴史をテーマにしたいと思ったのですが、対象を「ママチャリ」に絞って、お話しさせていただきたいと思います。
DJ:お願いします。
市職員A:先日、国内で販売されている自転車のうち、電動自転車が4割を占めるという報道がなされたところですが、それでもまちなかでみかけるのはまだまだ、いわゆるママチャリタイプも多いかと思います。
DJ:そうですね。ママチャリは昔から多いのでしょうか?
市職員B:いえ、決してそんなことはないんです。
もともと、日本の場合、自転車が入ってきたのは幕末です。
DJ:確か日本で最初に乗ったのは、お殿様だったんですよね。
市職員B:現在の福井県の藩主、松平春嶽(しゅんがく)が最初ではないか、と言われています。
DJ:そうでしたね。
あと、徳川最後の将軍で有名な、徳川慶喜も、明治時代になって将軍でなくなってからは静岡県に移って、乗り回したそうですね。
市職員B:憶えていてくださってありがとうございます。
このように、幕末当時は、とっても高級なものだったことから、一部の人たちが、娯楽用として使う程度だったようです。記念写真を撮る際には、わざわざ自転車も一緒に映す人々もいたとのことです。
その後、明治時代になって、ようやく実用的に使われだしたのですが、男性が使用することが主流の、大きくまたいで乗るタイプであったため、男性に比べて体格が小さい女性にとっては、運転しづらかったようです。
さらに、時代性も相まって、日本では女性が自転車に乗ることはとても少なかったようです。
DJ:現代でも、国や宗教によっては、女性が自転車に乗ることが望ましくないとされている場合があると聞いたことがあります。
市職員A:はい。
その後、女性の社会的地位が高まることによって、状況が変わっていったようです。大きな転機となったのは、昭和20年代後半と言われています。
DJ: 何が転機になったのでしょうか?
市職員A:オートバイが流行するなどして、それまで好調だった自転車の販売数の伸びが鈍化してしまったそうなんです。
それで、自転車業界では危機感が高まりました。
DJ:なるほど。
それで、それまでのように男性だけでなく女性にも自転車に乗ってもらおうという流れになったんですね!
市職員B: お見込みのとおりです。
男性だけでなく女性にも自転車に乗ってもらうために、「自転車は、美容や健康維持におすすめです。」といって宣伝したり、取り外しができる買い物カゴを設置したそうです。また、男性に比べて小柄な人が多い女性でも乗りやすいよう、サドルやハンドルの位置を下げ、重心を低くしたそうです。
市職員A:こういった努力が実を結び、結果として、女性にも受け入れられ、昭和37年には、54%以上の花嫁が、「嫁入り道具」の1つにするほど売れたそうです。
そして昭和43年の時点では、20代の女性の90%、3030代女性の77%が、自転車に乗れるようになっていたそうです。
市職員B: その後、高度成長期に入って、いわゆる郊外型の団地が増加したことも、転機となったそうです。
DJ:団地の増加が、ママチャリにどのような影響を及ぼしたのでしょうか?
市職員B:当時の郊外型の団地の多くは、敷地内の通路は狭く、駐輪場の大きさも限られていたそうです。スーパーマーケットの普及などを背景に、生活圏が広がったこともあり、自転車にはより高い機能性が求められるようになりました。
そのため、大きな前カゴや、サドルの高さを調節できるハンドルが標準装備され、より小型の自転車が登場し、この時点で、現在のママチャリの原型が完成したといわれています。
市職員A:わが国よりも早い時期に自動車が普及していたヨーロッパでは、自転車は、サイクリングといった、レジャーでの利用が一般的であり、現代でも、マウンテンバイクやクロスバイクなどのスポーツタイプが売れ筋であるようです。
一方、日本の場合、交通網の整備が比較的遅く、近距離の移動手段として自転車の需要が高まりました。その結果、通勤や通学を始め、生活に密着した自転車の使い方がメインになりました。
さらに、先ほどご説明しましたような経緯で、女性を購買層に取り込んだ結果、車体のカラーや、かごなどの装備も充実し、ママチャリの誕生につながったようです。
海外でもママチャリ人気が高まっているといいます。スポーツタイプより安価で運転しやすく、子ども用のカゴやイスつきなのが好評だとか。イギリスやアフリカでは、「Mamachari」の名前で親しまれているそうです。
ぜひ、皆さんも、欧米に行かれる機会がありましたら、「Mamachari」を探してみてはいかがでしょうか。
まるで、海外で、ドラえもんなど、日本のアニメキャラクターを見つけた時のような、なんとなくうれしい、なつかしい気持ちになるかもしれませんよ。
ちなみに、わたしが以前1度だけ訪れたある国では「ドラえもん」のことを「ドライモーン」と発音していましたね。
DJ:・・・最後の例え話は必要なかったように思いますが、とにかくママチャリの歴史はよくわかりました。
とても興味深い歴史があるママチャリ、今後は、どうなっていくのでしょうか。
市職員B:現在、冒頭でお話ししました電動アシストタイプや、子どもを乗せるタイプなど、自転車に求められる機能が追加され、ママチャリは、ますます、日常生活と結びついたものとなっています。
また、今後は、高齢者のさらなる増加によって、これまでよりも体力を使わず、また、バランスの維持が簡単な、より軽くて、重心が低いタイプも登場するなど、ママチャリは進化、多様化していくかもしれません。
DJ:では最後に告知です。このコーナーではリスナーの皆さんから、自転車にまつわるご意見などを募集します。
テーマはいくつかあるのですが、今回は、「市内で、自転車の事故が起きそうなところ、ヒヤリハットするところ」です。
前から気になっているあの交差点、ある時間帯に自転車が殺到するあの道路などなど、どんどんお寄せ下さい。
(以下、応募方法等の説明)